ざっくり説明すると
どれも看護の実務経験が5年以上必要。
認定看護・専門看護はそれぞれの分野で3年以上の実務経験が必要。
認定看護は指定の教育機関、専門看護・診療看護は大学院で学ぶ。
近年、医療技術の高度化や専門化が進む医療現場において、看護師に求められる役割やその業務の範囲はますます拡大しています。それに伴って看護師の専門性や質の向上を目的とする資格認定制度も充実してきました。さらに医療機関における資格取得の支援や結婚・出産などを経ても働き続けられる環境整備への取り組みも進んできています。こうした背景もあり、スキルアップやキャリアアップを目指す看護師にとってはそのチャンスが広がっています。
看護師の専門性や質の向上を目的とする資格には大きく認定看護師や専門看護師、診療看護師などがあります。看護師の皆さんも一度は名前を聞いたことがあると思います。診療看護師になるとそれだけで月額の手当が100,000円近く付く医療機関もあるなど、どれも看護師のキャリアアップに大きく近づく資格です。
しかし、どの資格がどう違うのか、またこれらの資格を取るためには何が必要なのか疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。そこで今回はこれらの資格を横断的に比較してみようと思います。これからスキルアップやキャリアアップを目指す看護師の方にとっては必見です。
高まる需要と看護師にとって学びやすい環境に
認定看護師資格制度が誕生してから15年が経ち、2012年にはその資格取得者の数は10,000人を越えるまでに拡大しています。今では医療現場での認知も高まり病院からの推薦やサポートを受けて認定看護師の資格取得を目指すケースも数多くあります。また、大学院で単位を取得する必要がある専門看護師も大学院修了後の研修が廃止され、これまで以上に取得しやすい環境になっています。さらに2011年には診療看護師であるNP(ナースプラクティショナー)養成分野修了者が現場に登場するなどこれらの資格を取得した看護師への期待は高まるばかりです。
認定看護師・専門看護師・診療看護師の大まかな違い
認定看護師・専門看護師・診療看護師の取得方法や個々の違いを詳しく説明する前にここでは大まかにその違いを説明します。
名称 | 条件 | 教育機関 | 認定機関 | 更新制度 |
---|---|---|---|---|
認定看護師 | 5年以上の実務経験(うち3年以上の認定分野での看護経験を含む) | 日本看護協会指定の教育機関 | 日本看護協会 | あり(5年ごと) |
専門看護師 | 5年以上の実務経験(うち3年以上の専門分野での看護経験を含む) | 日本看護系大学協議会指定の大学院 | 日本看護協会 | あり(5年ごと) |
診療看護師 | 5年以上の実務経験 | NPコース設置の大学院 | 日本NP教育大学院協議会 | なし(今後創設される可能性あり) |
以下では認定看護師・専門看護師・診療看護師の概要と取得までのステップを説明していきます。
認定看護師取得までのステップ
そもそも認定看護師とは
認定看護師は日本看護協会が認定する資格で特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を身につけ、高い水準の看護実践が出来る資格です。6ヶ月以上の教育課程の後に試験を受け、合格すると認定取得となります。認定看護師の数は1997年には59名でしたが2012年には10,000人を超え、教育機関への通学日を出張扱いにしてくれる医療機関もあるなど近年注目されている資格です。ただし、認定看護師になれる看護師は実務経験が5年以上あり、かつ3年以上は認定看護分野の経験が必要なので注意が必要です。
認定看護師になるまでの道のり
①教育機関を選ぶ
まずはご自身がどの分野に関して認定看護師になりたいのかを考えましょう。繰り返しますが、認定看護師になれるのはその認定分野での看護経験が3年以上あることが前提なのでご注意ください。そしてどの分野で認定看護師を目指すのかを決めたらそれに適したプログラムを提供している教育機関(日本全国に認定看護師教育機関があります)を選びましょう。教育機関へは働きながら通う看護師が多いため、勤務している病院から通えるかどうかを考慮して候補先を絞り込んでいきましょう。
【参照記事】認定看護師を取得できる全国の教育機関一覧
②6ヶ月以上学び教育課程を修了する
認定看護師教育機関では座学から臨地実習まで知識の定着のため、様々なことを学びます。機関は原則として6ヶ月以上の連続した昼間となっています。共通科目は105時間以上で専門基礎科目・専門科目は時間既定なし、学内演習および臨地実習は200時間以上などと定められています。時にはレポートのなどの課題を提出することもあります。
③認定審査を受験する
教育機関での教育課程を修了後、マークシート方式の筆記試験を受けましょう。受験資格を有していることを確認し、申請を行います。毎年1回実施される認定看護師認定審査は筆記試験(マークシート方式・四択択一)で実施されます。認定看護師として必要な能力について判断されます。
④認証交付・登録する
晴れて合格すると登録申請を経て認定看護師としての認定証が交付されます。5年ごとに更新する必要がありますので注意が必要です。
専門看護師取得までのステップ
そもそも専門看護師とは
専門看護師は認定看護師と同様に日本看護協会が認定する資格で、分野ごとにより専門性の高い看護を提供するための資格です。実務研修が5年以上(うち専門看護分野が3年以上)必要となり、日本看護系大学協議会が指定する大学院の博士過程を修了する必要があります。2012年度には教育修了後6ヶ月の実務要件の廃止、実務研修期間の雇用形態を常勤に限定する既定の削除、看護実務報告書の提出事例数の減少など認定方法について緩和があり、今後受験者する人数が増加することが予想されています。1998年には12過程だった学びの分野が2012年には11分野195過程まで拡大するなど、今では専門看護師となり、その分野での高い看護技術を持った看護師が多く輩出されています。
専門看護師になるまでの道のり
①大学院を選ぶ
まずはご自身がどの分野に関して専門看護師になりたいのか、またその分野について学べる大学院がどこにあるかを調べましょう。2014年現在で専門看護師になるために学べる大学院は全国に96校256課程あります。こちらも認定看護師と同様に専門看護師になれるのはその専門分野での看護経験が3年以上あることが前提なのでご注意ください。
②受験をする
専門看護師が認定看護師と大きく異なる部分は大学院への受験が必要なことです。英語や小論文、面接など大学受験と同様にしっかりと勉強をして試験に臨む必要があります。また面接ではご自身がどうして専門看護師になりたいのか明確なビジョンを語る必要があります。
③2年以上かけて学び教育課程を修了する
大学院では「看護教育論」や「看護管理論」「看護倫理」といった共通科目の履修に加えて専攻する専門分野の教育課程を履修する必要があり、ベースとなる知識に+αをしてよりその分野についての専門的な内容を集中して学びます。大学院で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得し博士課程を修了すると認定審査を受けることが出来ます。
③認定審査を受験する
毎年1回実施される専門看護師認定審査では書類審査に加え論述式の筆記試験もあり、大学院で学んだ知識をフル活用する必要があります。
④認証交付・登録する
長い学びの期間を経て晴れて合格すると専門看護師としての認定証が交付されます。こちらも認定看護師と同様に5年ごとに更新する必要がありますので注意が必要です。専門看護師は大学院でその分野に関する専門的な知識を集中して学ぶため、その間に一時離職するケースもあるそうです。
診療看護師取得までのステップ
そもそも診療看護師とは
診療看護師は特定看護師とも呼ばれ、医師の指示の元で診療や検査・処置などの特定行為を行う大学院での専門教育を受けた看護師です。医療先進国であるアメリカではNP(ナースプラテクショナー)と呼ばれ、50年以上前からこの制度が広く導入されています。日本でもこのNPをモデルに2010年から診療看護師が活動を始めています。診療看護師になるには認定看護師・専門看護師と同様に5年以上の実務経験が必要となります。
専門看護師になるまでの道のり
①受験をする
まずは専門看護師と同様に大学院を受験する必要があります。2013年現在、診療看護師を育成するための大学院は全国に9校あります。こちらも専門看護師と同様に受験のための勉強をしっかりとしてから試験に臨む必要があります。
②2年かけて学び教育課程を修了する
大学院で診療看護師になるための知識や技術を習得し、教育課程基準の所定の単位を取得し博士課程を修了すると日本NP(ナースプラテクショナー)協議会の認定審査を受けることが出来ます。
③認定審査を受験する
毎年1回実施される診療看護師認定審査では、大学院で学んだ各種プライマリ・ケア(成年・老年)やプライマリ・ケア(小児)、クリティカル・ケアに関する知識の範囲を超えて高度な知識が求められることもあります。大学院で学んだ知識に加え、これまでのご自身の看護経験をフルに活用する必要があります。
④認証交付・登録する
長い学びの期間や難しい認定審査を経て晴れて合格すると診療看護師として認定されます。これから診療看護師のニーズが増すことが予想されるため、大学院へ通う2年間の間、休職扱いにしてくれて、かつその間の給与を支給してくれる医療機関もあります。
これらの資格を活かすことで活躍の場は飛躍的に拡大
いかがだったでしょうか?
これらの資格を習得することで業務内容やその役割も大幅に広がります。これらの資格を取ることで高い医療技術を持つ医療機関に転職したり昇進・給与が増えたりするなどキャリアアップも可能です。
また、結婚・出産を機に働き方を変える場合にもこれらの資格を取得することによってご自身が望む働き方を選択できるチャンスも広がることでしょう。是非、これからのご自身の働き方を考える上で参考にしてみてください。
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